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日本国籍取得:帰化許可申請
6.帰化経験者の声
実際に帰化した方が、なぜ帰化されたのか、その結果、よかったことと悪かったことは何か? そういった疑問について、『在日外国人と帰化制度』(浅川晃広氏、2003年)がアンケート調査結果を報告しています。浅川氏は当時、大阪大学大学院で日本の国籍問題について研究されていました。デリケートな学問領域のため、浅川氏の著作には異論をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、アンケート結果として貴重なものと思われます。そこで、約50項目のアンケート結果から4項目についてご紹介させていただきます。
アンケートは2001年に行なわれました。1998年と99年に帰化された約3万人から2000人を無作為抽出して質問票を送付。そのうち、359人の方から回答があったものです。
まず、帰化した理由は以下のグラフのように、「これからも日本で生活していくため」という 全般的な必要性が163名と半分近く、続いて「子供に日本国籍を与えるため」「就職、職業上の理由」が続いています。この3つの合計で289名と全体の約8割となります。また、報告では20名以上の帰化経験者の「生の声」も掲載されていますが、お二人の例を引用させていただきました。
「私は在日三世で、日本で生まれ、日本の義務教育を受け、日本の工業高校を卒業し、日本の会社に就職しております。私にとって、祖国(故郷)とは何かと考えた時、それはやはり、自分が生まれ育った土地、風習、言語ではないかという結論に達し、又、日本国籍の配偶者との結婚を機に帰化を決意しました。」(30歳代、韓国籍、日本生まれ、特別永住者、男性) 「私の帰化した理由は、私が就職差別を受けたので、子供には能力で判断されるようになってほしかったのと、日本に対して日本人以上に日本に貢献している(税金など)のに、その権利がないので、それを取得する為。母国語も出来ない。帰れない。特別永住者には無条件で、希望者には帰化出来てほしい。」(40歳代、韓国籍、日本生まれ、特別永住者、男性) |
帰化してよかったこととしては、78人と約2割の方は「特によかったことはない」とされていますが、残りの約8割の方はよかったことを挙げられています。特にパスポート・選挙権・永住権、就職や商売上の有利さを挙げた方が合計216人と約6割となります。ここでもお一人の方の「生の声」を引用させていただきます。
「仕事の立場上、帰化しましたが、私の場合、親から独立して住んでいますと、賃貸マンションを借りるときに外国籍というだけでなかなか思うように借りることが出来なかった(くやしい経験)ことがありますので、帰化してよかった事はその点がスムーズになった事と仕事で海外に行くことになったときに、外国籍だったときは少しややこしい事もありましたので・・・8ヶ月くらいで帰化ができ、よろこんでおります。」(30歳代、韓国籍、日本生まれ、永住者、女性) |
一方、帰化して悪かったこととしては、191人と約5割の方は「特に悪かったことはない」とされています。しかし、「母国の国籍を失った」ことを86人と約2割の方が挙げ、「帰化したにも関わらず外国人のような扱いをされる」ことを37人と約1割の方が挙げています。また、お一人の方の「生の声」を引用させていただきます。
「これから先もずっと日本で生活していくだろうし、母国へ帰る(永久的)ことはまずないだろうとの思いから、日本に帰化しましたが、今となっては少し(これといった理由もなくただ何となく)帰化したことを後悔する気持ちが心のどこかにあります。」(30歳代、韓国籍、日本生まれ、特別永住者、男性) |
最後に、1998年及び99年に帰化を許可された方の原国籍と、アンケートに回答された方の原国籍の比較表を示します。どちらも、韓国・朝鮮の方が6割強、中国・台湾の方が約3割。残りはその他の国籍となり、アンケート回答結果が母集団とほぼ類似していることを示しています。なお、「朝鮮」とは「旧朝鮮戸籍登載者及びその子孫(日本国籍を有する者を除く。)のうち、外国人登録上の国籍表示を未だ『大韓民国』に変更していない」方であって、北朝鮮とは関係ありません。
この他にも『在日外国人と帰化制度』では、回答された方の原国籍の違いに基づく詳細分析等もなされています。 なお、そのアンケートでは帰化された方に質問票をお送りする際、あて先として帰化前のお名前が使われていました。そのため、質問票をお受取りになった方にご迷惑もあったとのことです。それにも関わらず359名の方が回答を寄せられました。その貴重なご意見である報告の一部を引用させていただきました。